「チョコレート嚢胞ってどんな病気?」「チョコレート嚢胞になってしまった、どうしよう」という方に向けて書いています。
私自身「チョコレート嚢胞」になったことがあります。
元々生理痛が酷かった為、自身では気づきませんでした。
年に一度子宮頸がん検診へ行き、ついでに経腟超音波検査をしてもらっている為たまたま発覚しました。
私より先に友人もチョコレート嚢胞になったことがあった為名前は知っていましたが、いざ自分もなるとビックリしました。
「チョコレート嚢胞をどうやって治したのか」など私の体験談もご紹介します。
是非参考にしてみてください。
チョコレート嚢胞とは
「子宮内膜症」の一種で、卵巣に発生したものが「チョコレート嚢胞」です。
「子宮内膜症」とは、子宮の内側のみにある子宮内膜が、子宮の内側以外の場所にできる病気です。
古い血液が溜まると袋(嚢胞)を形成します。それが粘性のあるチョコレートのような状態になる為「チョコレート嚢胞」と呼ばれています。
チョコレート嚢胞が大きくなると、他の臓器と癒着し痛みや症状が重症化していきます。
ほとんどの場合良性ですが、稀に卵巣がんになる可能性もあります。
※がんになる可能性は1%以下の確率ですが、チョコレート嚢胞が大きくなるとリスクも上がります。
チョコレート嚢胞になる原因
卵巣にできた子宮内膜は生理の時に出血しますが、排出されない為古い血液が卵巣内に溜まり、チョコレート状の液体を含んだ嚢胞ができます。
生理を繰り返すことで悪化していきます。
「子宮内膜症」自体が起こる原因は解明されていません。
生理時に剥がれ落ちた子宮内膜組織の一部が、卵管を通じて逆流し他の臓器や組織に付着・増殖することで子宮内膜症になるという説が有力視されています。
生理の周期が短く、期間が長い人の方がなりやすいと言われています。
初経の低年齢化、少子化(妊娠しない女性が増加)により生涯の生理の回数が増えることで、増加していると考えられています。
チョコレート嚢胞の症状
代表的な症状は、「痛み」「破裂」「不妊」「がん化」があります。
「痛み」
一番多いのは、生理痛が酷くなるという報告です。
※生理の度に症状が悪化していくのが特徴的です。
生理の時以外にも下腹部痛、腰痛、性交痛などが起こりやすくなります。
「破裂」
チョコレート嚢胞が大きくなり、6㎝以上になると破裂の危険性が高まると言われています。
破裂すると非常に強い痛みが発生し、緊急手術になります。
「不妊」
卵巣機能が低下し排卵が難しくなる、卵胞の発育が低下するなどの原因になります。
癒着があると、卵管の通りが悪くなり不妊の原因になります。
※子宮卵管造影検査をすると、卵管の通りが良くなり妊娠するケースもあります。
「がん化」
稀に卵巣がんになる可能性もあります。
※1%以下の確率ですが、年齢が高くチョコレート嚢胞が大きいとリスクが上がります。
チョコレート嚢胞の検査・診断
超音波検査(経腟)で見つけることができます。
子宮頸がん検診の際に生理痛が酷いことを伝えると、超音波検査をしてくれる為発見することができます。
お腹から超音波を当てる経腹超音波検査よりも、膣内に器具を挿入する膣内超音波検査の方がより正確に発見することができます。
チョコレート嚢胞が見つかった場合、MRI検査も受けることで良性か悪性か判断することができます。
チョコレート嚢胞の治療方法
自然に治ることはない為、何かしらの治療が必要になります。
「薬物療法」、「妊娠」により、子宮内膜の増殖を抑えて進行を止める方法があります。
「手術(開腹手術か腹腔鏡下手術)」により、病巣自体を取り除く方法があります。
一般的には3㎝~4㎝以上の場合手術を検討します。
「今すぐ妊娠を望む」、「将来的には妊娠したいがまだ決めていない」、「妊娠は考えていない」などどうしたいかによって対応が分かれます。
また、年齢や進行度によっても判断されます。
年齢が高くチョコレート嚢胞が大きい程、破裂とがん化のリスクが上がる為手術の可能性が高くなります。
薬物療法
- ホルモン剤
- (低用量ピル、ジェノゲストなど)
- 鎮痛剤
ホルモン剤を使用することにより、子宮内膜症の進行を抑えることができます。
また、生理(排卵)を止めることでチョコレート嚢胞が縮小する場合があります。
痛みが強い場合、対症療法として痛み止めが処方されます。
妊娠
妊娠中は生理が止まる為、チョコレート嚢胞が縮小・改善する場合があります。
チョコレート嚢胞がまだ小さい場合、妊娠をすることも有効な治療法です。
20代から30代前半で妊娠を希望して1年未満、「チョコレート囊胞」が4cm未満の場合、まずは1年をめどに早期の妊娠を目指します。
妊娠しない場合は、不妊治療も考慮します。
妊娠中は経過観察が大切になります。
妊娠中に破裂することもあり、経過次第では妊娠中に手術をする場合もあります。
※チョコレート嚢胞が4㎝以上の場合、妊娠中のリスクとなる為、先に手術を行った後に妊娠を目指します。
産後は手術後と同様、再発予防が大切になります。
手術
腹腔鏡下手術が一般的です。
「チョコレート嚢胞のみを摘出」し、卵巣を温存する為将来的に妊娠が可能です。
術後約70%の方で自然妊娠が成立しているという報告があります。
卵巣を温存するということは再発予防が大切になり、摘出後ホルモン剤治療が必要になります。
ただし、チョコレート嚢胞のみの摘出でも、卵巣の予備能力の低下が起こる可能性があります。
体外受精を考えている方は、先に採卵を行うことも視野に入れておきましょう。
開腹手術による「卵巣・卵管摘出」「子宮摘出」をする根治手術もあります。
出産を終え妊娠を希望しない方は、臓器の摘出をすると再発の心配がありません。
ただし、更年期症状が起こりやすいというデメリットがあります。
高齢やチョコレート嚢胞が大きい場合、がん化が疑われる場合などは卵巣や子宮の摘出が必要となることがあります。
チョコレート嚢胞の再発予防
チョコレート嚢胞は治療後(卵巣を温存した場合)、再発しやすい病気です。
※3年以内に約30%が再発しています。
チョコレート嚢胞の治療後は、定期的に病院へ行き再発予防の治療(長期にわたるホルモン剤の服用)が必要になります。
生理を繰り返すことで再発のリスクが上がる為、妊娠を望まない場合ホルモン剤を使用し生理を止めることで再発を予防することができます。
将来的に妊娠を望む場合は、主治医と相談し治療法を選択することもできます。
妊娠を望む時期のみホルモン剤を中止すると、直ちに生理が起き妊娠可能になります。
ただし「生理が再開する=再発の危険性もある」為、自己判断せず主治医と相談して決めましょう。
ホルモン剤の種類
「低用量ピル」と「ジェノゲスト(ディナゲスト)」があります。
低用量ピルは卵胞ホルモンと黄体ホルモンが含まれていて、ジェノゲストは黄体ホルモンのみ含まれています。
「低用量ピル」
決まった時間に1日1回服用します。
避妊効果が高いです。
極稀に血栓症のリスクがあります。
3~6ヵ月を目途に数日間の休薬期間をおいて再開します。
※過去に血栓症が起きたことがある方には処方できない為、ジェノゲストでの治療になります。
「ジェノゲスト」
朝・夕1日2回服用します。
血栓症のリスクが低く、休薬期間がなくずっと使用することができます。
排卵を止めていますが、低用量ピルより避妊効果は低い為妊娠を望まない場合避妊が必要です。
服用開始時には不正出血が起こりやすく、長期使用することにより副作用が緩和されていきます。
※子宮筋腫などがあると不正出血の量が多くなる傾向があります。
どちらの薬も似たような副作用(不正出血、気分の落ち込み、吐き気など)が起こる可能性があります。
不正出血の量が多いなど気になる部分があれば主治医に相談しましょう。
※飲み忘れると生理が起こる為(1回飲み忘れただけで直ちに生理が来るわけではありませんが)、なるべく忘れないようにしましょう。
体験談
私の場合(妊娠)
「左の卵巣にチョコレート嚢胞」が見つかり、サイズは1.5 cm×2cmでした。
※小さい「子宮筋腫」も見つかりました。
子宮頸がん検診へ行った際、毎回経腟超音波検査も受けていた為たまたま見つかりました。
元々生理痛は酷かった為、気づきませんでした。
「思い返すと、発見する前の二ヵ月はいつもより生理痛が酷かったな~」という程度です。
大きくなるスピードは、個人差があり不明だそうです。
私の場合妊娠を希望しており子宮筋腫もまだ小さい為、一刻も早く妊娠した方が良いとのことでした。
※チョコレート嚢胞が見つかる半年前から妊活をしていました。
「不妊治療専門の病院」を紹介してもらいました。
紹介してもらった病院に通うまでの間(1ヵ月)は、今まで通り婦人科で排卵のタイミングをみて妊活しました。
↓
紹介してもらってから1ヵ月後、「不妊治療専門の病院」へ転院しました。
採血などの検査をしました。
私はかなり痛みに弱い為、医者と相談し卵管造影検査はしませんでした。
※卵管造影検査は採血などの結果を診てからやるかどうか決めることになりました。
(数日後、別の施設でMRIの検査をしました。)
↓
MRI検査から10日後全ての結果が出ました。
チョコレート嚢胞のサイズは2 cm×2.2cm良性でした。
採血の結果は異常なしです。
※「CA19-9」のみ高く、チョコレート嚢胞が原因かもしれないとのことでした。
医者からは、経膣手術で先にチョコレート嚢胞を取りたいと言われましたが、私自身点滴などダメな為タイミングで様子をみることになりました。
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幸い無事、自然妊娠することができました!
MRIなどの結果を聞いてから2週間後の採血で、妊娠反応を確認しました。
数日後、胎嚢が確認でき産婦人科へ転院しました。
結局、「不妊治療専門の病院」へ転院して1ヵ月以内に自然妊娠しました。
※検査結果が出るまでの間に挑戦し、成功した可能性が高いです。
私個人的には、たまたまかもしれませんが大嫌いな採血や初のMRI検査で、命の危機を感じたからできたのかもしれないと思っています。
↓
妊娠中はエコー検査の時に、チョコレート嚢胞も診てもらい、特に変わりませんでした。
↓
無事出産することができました。
出産から2週間後の検診の時に、チョコレート嚢胞が見当たらず小さくなって消えたかもしれないとのことでした。
↓
出産から2ヵ月後、「チョコレート嚢胞」と「子宮筋腫」は見つからず治ったとの判断でした!
※違うトラブルが起き産科に通った際、検診で診てもらいました。
↓
出産から1年半後、経過は良好だった為、チョコレート嚢胞再発防止の為ホルモン剤(ジェノゲスト)をもらいました。
元々通っていた(チョコレート嚢胞を発見した)婦人科に子宮頸がん検診へ行った際、ついでに診てもらいました。
「また子どもが欲しくなり、生理を再開したくなったらいつでも相談して」とのことでした。
現在、「ジェノゲスト」を毎日飲んでいます。
※特に不正出血などの副作用はなかったです。
正直、毎日薬を飲まないといけないことは面倒ですが、生理が全く来なくなり煩わしさ(生理前のイライラ、生理痛など)がなくなり快適です。
✓素朴な疑問
「帝王切開で出産する場合、ついでにチョコレート嚢胞も取ることはできないか」質問しました。
回答:両方同時に手術すると、それだけ時間がかかりリスクが上がる為できないそうです。チョコレート嚢胞の経過に問題がない場合、まずは出産だけを考えるよう言われました。
友人の場合(手術)
3㎝のチョコレート嚢胞が2つくっついていて、それが癒着して卵管が通り辛くなっていたそうです。
生理痛は明らかに酷くなり大変だったそうです。
当時は本人も今すぐ妊娠は考えておらず、医者からは手術を先行した方が良いと勧められ腹腔鏡手術をしました。
5泊6日(手術前日)入院でした。
手術は無事成功し、再発防止の為薬物治療を続けています。
数年後、無事自然妊娠・経腟分娩で出産しています!
まとめ
チョコレート嚢胞は極稀(1%以下の確率)ですが、がん化する可能性のある病気です。
私の場合元々生理痛が酷かった為、若干生理の量と痛みは増した気がする程度で気づきませんでした。(思い返してみると、確かに少し違った気がする程度でした)
たまたま早めに見つかった為、選択肢があり順調に治った為良かったのですが、やはり生理痛が酷い場合注意が必要だなと感じました。
※どこにどれくらいの大きさでできるかによって症状が違うようです。
生理が起きる度リスクが上がる病気ですが、若くても発症することがあります。
生理痛が酷い場合、一度婦人科に行って診てもらうことをオススメします。
早期発見ができれば選択肢が増える為、是非参考にしてみてください。
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